原点、四国ツーリング 3日目

高知で迎える3日目の朝も、予報通りの快晴であった。

今日は2015年のツーリングでは訪れていない、四国カルストに向かうことだけは決めていた。
どこまで向かうかは決めていなかったが、宿毛くらいまで行けたら良いなと考えていた。結果的には、到底無理だったのだが…。

宿を出発し、路面電車の走る少し緊張感のある高知市街を抜けてR56へ。
R56は高知自動車道との併走区間なのだが、思いの外交通量は多かった。とは言いつつも、四国が好きな理由はのんびりと海岸線を流すのが気持ち良いからであり、流れに沿って走るのも好きなのだ。

須崎市までR56を走り、そこからはR197へ。
ここからは標高を上げて、道の駅 布施ヶ坂へ。

ここでは軽く休憩とし、四国カルストへと向かう。

四国カルストへのアプローチ方法はいくつかルートがあるが、最も安全なのはR197から東津野城川林道で行くルートだろう。
国道でも県道でもなく林道が最も快適、というのがいかにも四国らしいのだが、実際にこのルートならほぼ全線2車線だ。

穴神トンネルを抜け、快走路とも呼べる林道を突き進む。
とはいえ、季節柄どうしても落ち葉や落枝が路面に散らばっているので、ほどほどのペースで走る。
4輪車には道を譲ってもらい、2輪車には道を譲りつつ、マイペースで走り抜けた。

そして四国カルスト、天狗高原へ。

先述のルートでアクセスすると、まずは天狗高原へと到着する。
天狗高原にはイマドキなカルストテラスがあり、軽くハイキングもできるようだ。

天狗高原を越えて小さなトンネルを抜けると、いよいよ広大なカルスト台地の全貌が姿を現した。

四国カルストは東西方向に約25kmにわたって広がっている。
一般的に、山口県の秋吉台、福岡県の平尾台と並んで日本三大カルストと言われている中の一つで、その中では最も標高が高くて約1,400m。

“カルスト台地”というのは長い年月をかけて石灰岩が雨によって溶かされることで、見ての通りの凹凸地形や地中の鍾乳洞が生成される。
しかし、石灰岩というのは要はサンゴ礁なわけだが、それが”天空の道”ともPRされている高所にあるのは信じ難い。
信じ難いが、実際に起こったことなのだろう。改めて、自然のスケールを感じさせられる。

それにしても、風はほとんど無く、寒くもない。
正直、雪の心配も少しはしていたのだが、全く無問題。今年は暖冬ということもあるのだろうが。
視程も最高で、遠くの冠雪した山脈まで見渡すことができる。石鎚山だろうか?
有名な観光地故に多少の混雑も覚悟していたが、ご覧の通りとても静かな状態だった。

ただただ、来てよかった・・・

姫鶴平までr383四国カルスト公園縦断線を走り、ところどころで車を停めてはしばらく景色を眺め、目の前に広がる雄大な風景を写真に収めた。

どれくらいいたのだろう?
圧倒的なスケールの風景と最高の気候でここを離れるのは惜しかったのだが、再び車を走らせた。

R197に復帰してからは、R320→R441と国道をトレースする。
ここら辺は主要な幹線道路であることから、しっかり2車線の快走路。

結局朝から何も食べずに走っていたこともあり、さすがに空腹感が襲ってきた。
食事を求めて、R441沿いにある道の駅 よって西土佐に滑り込んだ。
この時点で、既に14時だった…。

ここの道の駅あたりで、ちょうど四万十川と合流する。
四万十川らしい食べ物って何だ?と思いつつレストランに行くと、意外にも四万十牛という和牛が有名らしい。

その中で「数量限定」というワードにまんまとハマり、「四万十牛すじ丼」を注文した。

これは結果的に大当たりで、牛すじはとても柔らかく煮込んであり、とても美味しかった。

さて、今日の宿を予約する。
この頃には既に15時、当初の行程は無理だと悟る。まぁ、別に目的もアテもない自由な旅なので、訪れた場所が目的地なのだが…。
宿毛の方に泊まるのも悪くないが、明日は土佐清水の方を訪れたい。
2015年の旅では足摺岬で日没を迎えてしまい、足摺サニーロードは堪能出来なかったからだ。そうすると場所的に宿毛は微妙かもしれない。そこで、四万十市のビジネスホテルを予約した。
つまりはすぐそこなので、一気に行程短縮!

というわけで一気に時間的余裕が生まれたので、のんびりと四万十川に沿って南下する。

四万十川といえば沈下橋が有名だが、今回はなんとなく、あまり巡る気が起きなかった。
なので、有名で前回も訪れた岩間沈下橋と佐田沈下橋だけを再訪することにした。

R441はまだまだ未改良区間がありところどころで1車線となるため、多少は運転に注意が必要。
しかしそれでも、以前に走った時よりも随分走りやすくなったと感じた。かなり改良が進み、離合困難な区間はかなり少なくなったように思う。
運転するには有難い一方で、難なく通れてしまうことになんとなく寂しさも感じた。
相変わらず、地元の軽トラが最速だった。

佐田沈下橋は四万十川の河口にもほど近い沈下橋なので、ここから少し南下すれば中村という地名の比較的大きな街に出る。
西陽に照らされた堤防には、下校中の学生がたくさん歩いていた。

人里離れた山奥や自然の景色はもちろん好きだが、ロードトリップの醍醐味は知らない街を運転することでもあると思っている。
そこで生活する人にとっての日常は、自分にとっての非日常であり、その対照的な状況が旅をしている実感を感じる瞬間でもある。

今日も日が暮れる。1日の終わりに入野海岸を訪れた。

広い砂浜にただ1人歩き、夕暮れに染まる空を眺めていた。
きっと夏は海水浴客で賑わっていたのだろうが、秋の暮れの砂浜は波の音だけが響いていた。

宿は先ほどの中村という場所にある「ホテルクラウンヒルズ中村」を抑えた。
例によって今回も素泊まり、と言いたいところだが僅かな追加料金で朝食が付けられたので朝食付きだ。

夕食は無いので、今日は高知県のご当地スーパー「サニーマート」で買い出し。

すこしフライング気味だが宇和島鯛めし丼と高知県産の太刀魚の刺し身、そしてカツオの炙りを購入して、愛媛と高知のハイブリッド夕食とした。

(続く)

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