原点、四国ツーリング 2日目

2日目。
初日は移動日だったので、今日から四国ツーリングの開始である。

さて、昨晩はせっかく眉山という山の上にあるホテルに泊まったので、すぐ近くにある眉山公園に向かった。

アンテナは四国放送とFM徳島。他にもNHK放送所もあり「眉山送信所」と言われている。

山頂付近まで車で行くことができ、駐車場も整備されている。
秋を感じさせる紅葉の木々をくぐり、山頂展望台へと歩く。

徳島市街を一望できる、なかなか素晴らしい眺望だった。
営業時間になればロープウェイも稼働するらしく、展望台も綺麗で広々としている。
山と呼べる山の無い関東平野で育った自分からすると、市街地にこのような見晴らしの良い展望台があるのはとても羨ましい。

徳島市を離れ、R55を南下する。

基本は無計画なので、2015年の旅をトレースしつつも、以前に立ち寄れなかった場所に立ち寄ろうと思う。
蒲生田岬は今回はパス。ロケーションは素晴らしいのだが、灯台が格好悪い。

しばらく淡々と走り阿南市まで来れば交通量は減り、日和佐道路への分岐で交通量はゼロになった。
その先でR55→r25へと入り、田井ノ浜海岸を訪れた。

田井ノ浜駅は降りれば目の前が海水浴場という、夏の間だけ利用される臨時駅。
日本中に海に近い駅はたくさんあるが、海水浴場が目の前にある駅はなかなか珍しい気がする。

長さ約1kmの海岸線。
綺麗な砂浜と海が広がっていた。

心地よい秋の気候と、県南の南国感あふれる雰囲気で穏やかな気分。

ここからは以前走っていないr25で大浜海岸を目指す。のだが…

早速、四国の洗礼。
ご存知のように四国には日本一有名な酷道、R439(通称ヨサク)があるように、国道や県道だからといってもかなり狭い道、いわゆる酷道や険道が多い。
まぁ、それも四国の魅力でもあるのだが、いきなり枝のブラッシングを浴びる羽目になった…。

そんなこんなで、r25を通って恋人岬。

ここから、大浜海岸を見下ろすことができる。

そして下ればすぐに、大浜海岸だ。

大浜海岸はウミガメの産卵地として知られる、南北500mの美しい砂浜。
先ほどの田井ノ浜海岸とは異なり、ここはウミガメ保護のため海水浴は出来ないらしい。

近くにはウミガメ博物館もあるのだが、生憎、月曜日は定休日とのことだった…残念。

ちょうどお昼になったことと、宿でもらった5,000円クーポンを消化するため、すぐ近くにある道の駅 日和佐に立ち寄った。

この道の駅は牟岐線の日和佐駅に併設されている。
このような道の駅と鉄道の駅が併設されているのは、Wikipediaによると全国に11箇所あるらしい。

道の駅にある物産館がクーポンを利用できるので、目についたお土産を一通り購入。それでも、使いきれなかったのだが…

ついでにすだちドリンク。さっぱりしていて、美味しいね。

昼食は道の駅から徒歩で数分のところにある「ひわさ屋」へ。

地魚のお刺し身と”阿波尾鶏”と呼ばれる地鶏の唐揚げがセットになった「海山ごはん」という定食を注文。

この”阿波尾鶏”の唐揚げだが、ふざけたネーミングながらとても美味しい。
地鶏本来の美味しさに加えて、カリッと揚げられていて中は柔らかくてジューシー。
平日なので待たずに入れたが、普段は行列店なのも納得の美味しさだった。

大満足のランチを終え、次はドライビングへ。

R55からr147へスイッチし、南阿波サンラインへ。

リアス海岸に沿って高所をゆく、ダイナミックな全長17kmのワインディングロード。
風光明媚な太平洋を望みながら、交通量ゼロのドライビングルートを車と対話しつつ、気持ち良く駆け抜ける。

南阿波サンラインはもともと1974年に観光用の有料道路として開通したらしいが、利用者が低迷して無料化されたらしい。
それゆえに全線2車線で路面状態も良好な上、景色も素晴らしいのだが、何よりも交通量が少ない。
日本全国でみても、有数のワインディングロードの一つだと思う。

南阿波サンラインには4箇所の展望台があるが、第一展望台と第四展望台が景色が良い。
言い換えれば、第二と第三はわざわざ寄らなくてもよいかもしれない。

第一展望台の駐車場にはネコチャンがたくさんいるので、気をつけて走行すべし。
というか、四国の展望台って駐車場に猫がたくさんいるのは、なぜ??

第一展望台からの景色の見どころは、なんといっても千羽海岸。
幅2km、最大高さ250mの絶壁の雄大な景色だ。

といいつつ、これは第三展望台からの景色。
視界は開けないが、そうは言っても木々の切れ間からは美しい海岸は見ることができる。

南阿波サンラインを堪能したあとは、引き続きR55を南下する。

そして立ち寄ったのは道の駅 宍喰温泉。
この先は高知県に入るので、例のクーポン消化するラストチャンスというわけだ(笑)

ところで、道の駅に変わったボンネットバスが停車していたのだが、これはDMV(デュアル・モード・ビークル)という線路と道路両方を走れるバスで、どうやらDMVの駅になっているようだった。
以前にネットで見かけて記憶にあり、乗ってみたい気持ちもあったのだが、気づいた頃には発車してしまった。
そもそも、そんなのんびりしていて良いんだっけか…

例のクーポンについては貧乏根性を発揮してなんとか使い切り、勝利(?)を祝して海を見ながらこなつゼリーを飲んだ。

空は青く澄み渡り、空気は暖かく、海は穏やか。素晴らしい1日である。

ここからは一気に室戸岬を目指す。
室戸岬灯台は以前も訪れているが、数ある灯台の中でも一際美しい灯台なのだ。

高知県区間のR55の東側、室戸岬に向かって走る区間は日本屈指のシーサイドロードだと思っている。
以前に走ったときも素晴らしい道だと感じたが、約8年振りに走ってもその感動は変わらなかった。

5速や6速の高いギアを選択し、のんびりと海岸をトレースして走る。
“ドライビングプレジャー”というものの感じ方は人それぞれだと思うが、個人的にはブレーキを使わずにアクセルのオン・オフだけで抜けられるRを描くコーナーが適度に連続する線形とアップダウン、それに素晴らしい景色が加わるのが最も気持ち良い道だと思っている。

R55のこの区間は、まさにその条件を満たしている道の一つなのだ。

のんびりと穏やかに流すR55からは、山中に入り中速コーナーの続く室戸スカイラインを山頂展望台まで駆け上がる。
この緩急もまた、室戸岬へのアプローチの終盤として、ストーリー性を持たせてくれるのだ。

太陽は既に低い位置にあり、西陽が眩しかった。

そして室戸スカイラインのクライマックス。
これまでに上げた標高を一気に下りながら、これから征く旅路を眺望するのだ・・・

以前室戸岬を訪れたときは灯台で満足し、海岸の方はあまり歩かなかった。
なので、今回は少し海岸を歩いてみることにした。

室戸岬といえばこのあたりの海岸を指すのだろうか。
しかし室戸岬灯台は海岸には建っておらず、下の写真の通り、山の上に建っている。

遠くまで光を届けるためには当然なのだが、そのお陰で灯台から見る景色は見晴らしが良くてきれいなことが多い。
だから、なんとなく灯台を見つけたら期待し、立ち寄ってしまうのだ。

さて、日没が近い。室戸岬灯台で日没を迎えよう・・・

室戸岬灯台へは、第24番札所 最御崎寺(ほつみさきじ)を通っていく。
合掌していたら、般若心経が聞こえてきた。仏教系の高校に通っていたこともあり、なんだかんだ口ずさめる程度には覚えていた。

そして、いよいよ室戸岬灯台へ・・・

室戸岬灯台は「第一等灯台」に分類され、第一等灯台は日本に5箇所しかない。

灯台は1899年に完成し、過去にレンズの破損はあったものの、この美しい佇まいは現在においても完成当時のままなのだ。

直径2.6mの第一等フレネルレンズ。
日本に5箇所しか無いのは先述の通りだが、その中でも室戸岬灯台は約49kmという、日本一の光達距離を誇る。
まさに日本一の灯台なのだ。

日が暮れる。

日本一の灯台で迎える、秋の夕暮れ。
誰一人おらず、夕日は純白の灯台を橙色に染めて、静かに水平線へと沈んでいった・・・

そして、完全に太陽が水平線に沈むと、第一等レンズに灯りが灯され、回転を始めた。

駆動音は静かで、遥か遠くを照らしていた。まさに、灯台下暗しである。

今日の宿は高知市街の郊外に抑えた。
室戸岬で日没を迎え、あたりが暗くなる中、淡々とR55を高知市に向かって走った。

今日の宿も素泊まりなので、夕食を求めて車を停めて歩いた。

高知は路面電車の街だ。路面電車の街はなんとなく運転するのに気を遣う。
ちなみに、路面電車の行き先に表示されている「ごめん」は謝罪ではなく、後免駅のことだ。

夕食は「市場レストラン 西村商店」へ。

メニューがとにかく豊富で迷いに迷ったが、観光客らしく鰹の刺身とタタキ定食を注文した。

手前が刺し身で奥がタタキ

言うまでもなく美味しい。
生にんにくのスライスがたくさんついてきたが、高知では生にんにくのスライスと一緒に食べるのが一般的らしい。知らなかった。

高知らしい満足の夕食を終え、宿へ。

今日の宿は「CHRES(セリーズ)

市街から離れているので駐車場が広く駐車料金がかからないという単純かつ適当な理由で当日予約したのだが、訪れてみれば欧州風のアンティークなインテリアでとても良い雰囲気のホテルだった。

今日は素晴らしい景色がいくつも見れた。
なんとなく、気分もドライブモードになってきた。

(続く)

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