欧州の想い出 「渡る」 -Day 5-
1887年にガソリン自動車をダイムラー・ベンツが発明したのとほぼ同時期に、今日まで続くモーターレーシングはフランスで誕生した。Grand Prix=グランプリというフランス語が今でも使われる所以である。
人類はスピードへの情熱を持ち、技術を競い合い、当時まだ多く存在していた蒸気自動車や電気自動車に対してアドバンテージを持つガソリン車はレースで勝利、その後ガソリン車が主流となり広く普及していったのは言うまでもない。
スピードの追求こそが、自動車技術を進歩させてきたわけだ。
モーターレーシングはスピードの追求、言い換えれば人類の行動範囲の拡大という大きな役割を持ち、人間社会の発展に貢献してきた。
古代ギリシアで生まれ、”スポーツ”と呼ばれる単なる祭典とは根底が違うのだ。
さて、そんな熱気あふれるモータースポーツの聖地でもあるニュルブルクリンクだが、残念ながら先述の通り冬季休業中である。。。
宿泊したDorint Am Nürburgring HocheifelはニュルブルクリンクのGPコースのホームストレートに面しており、部屋のバルコニーから眺めることが出来る、以前も宿泊した宿だ。
ニュルブルクリンクといえばノルドシュライフェと呼ばれる北コースが有名だが、24hレースをはじめとする公式レースではこちらのGPコースと合わせて使われる。
この記事を書いている2022年時点での話では、2020年にEifel GPとして7年ぶりにF1グランプリが開催されたこととしても記憶に新しい。COVID-19により、開催可能場所が不足した結果ではあるが、オーバーテイクポイントも比較的多く、北コースばかり注目されがちだがGPコースもなかなかのコースである。
ホテルの隣にはring°werkというアミューズメント施設?がある。
施設にはいろんな車両展示だったり、ちょっとしたアミューズメントがあったりする。
建物内の天井を通っているジェットコースターのレースもその一環として企画されたのだが、発車に使う圧縮空気システムの故障による負傷事故や、建物の破損などいろいろと設計ミスとも言える欠陥が相次ぎ、ほとんど使われること無く放置されている。ある意味、ニュルブルクリンクの負の遺産だろう。
設計ミスなどドイツらしくないとも思えるのだが、当時のニュルブルクリンクの経営はめちゃくちゃで、結果破産したわけだ・・・
閑散とした施設の展示室の中には、サンセットオレンジのZ33がいた。
遠く離れた地で自分の車を見ている感覚で、不思議な感じであった。前期型と中期型という違いはあるにせよ。
ニュルブルクリンクで出来ることは静かな展示室を覗くくらいで、さすがに間が持たないので、隣町のKoblenz(コブレンツ)へと繰り出すことにした。
コブレンツは、ライン川とモーゼル川が合流する地点にある街で、ドイツ最古の美しい街の一つとも言われているそうだ。
ライン川を渡るようにロープウェイが通っており、乗ること。
見ての通り2つの川が合流しており、街が三角に突き出している。
ここを「ドイチェス・エック(ドイツの角)」と言うそうだ。
ちなみに奥から来ているのがモーゼル川、手前がライン川だ。
この写真は写っているロープウェイに乗り、Ehrenbreitstein Fortress(エーレンブライトシュタイン城)から撮影した。
エーレンブライトシュタイン城はドイツで2番目に大きい要塞とのことで、内部は博物館になっており見学が可能。
乏しい語学力と知識からあまり理解することは出来なかったものの、それなりにきっちり博物館を見学した。
いずれも全く写真は無いのだが、城跡周辺はかなり広い芝生広場の公園ように整備されている。街も美しいが、街の中にこんな素晴らしい場所があるのは本当に羨ましい。
見学後は再びロープウェイにて街へ降り、車を停めておいたショッピングモール近くのピザハットで食べた。
コブレンツを離れ、ニュルブルクリンクへ戻る。
コブレンツからニュルブルクリンクまでは車で約1時間ほど、もちろん渋滞とも無縁なので快適な道中だ。
(続く)