酷暑の九州ツーリング 2021 4日目

平戸の朝。

方向的に日の出は見えないのだが、朝焼けに染まる空を見たくて5:30に起床した。
やっぱり日の出は見えないものの、静かな海と鳥の鳴き声を聞いていると良い1日を予感させてくれた。
この時間でも暑さを感じるのは如何ともし難いが…

早めに朝食を戴き、チェックアウト。

まずは生月大橋を渡り、生月島へと向かう。

1991年に完成した生月大橋は以前は有料道路だったが、2010年から無料開放されている。
当然のことながらこの橋が完成するまでは生月島へはフェリーで渡るしかなく、この橋の完成によって平戸島と合わせて九州本土と繋がったわけだ。

橋の完成は島民にとっては大きく利便性を向上したことと思うが、僕がわざわざこんな西端の島に来るのにも理由がある。

「生月農免道路(通称:生月島サンセットウェイ)」
日本でも有数のドライビングロードだ。
西の果てにある島の西側に位置している、全長10km程度の農免道路。

生月大橋を渡り、森林の中を西に向かうと目の前に大海原が姿を見せてくる。
海岸の断崖に沿って緩やかなアップダウンとコーナリングを繰り返しながら、風を切って北に向かって走る。

西の果てまで走ってくれば、こんな風景が広がっているのだ…

生月島サンセットウェイの北端まで走るとr42と交わる。
そしてさらに北へ・・・

「大碆鼻灯台(大バエ灯台)」は生月島の最北端に位置する小さな灯台。

誰一人いない西の果てにある島の最北端で、日陰で暑さを凌ぎながら遥かに広がる海や島々を眺めていた。

のぼれる灯台16」というのがあり、日本では16基の灯台がのぼれることが知られているが、その16基には含まれていない大バエ灯台だがのぼることが出来る。
まあ、小さな灯台まで含めていたらきりがないのだろうが、ここからのぼって見る風景は他の16基にも勝るとも劣らない。

さあ、再び生月島サンセットウェイを南に向かって走ろう・・・

生月大橋の根本にある道の駅 生月大橋からは、生月大橋を間近に見ることが出来る。

綺麗な水色に塗られたトラス橋はその規模も含めて存在感があり、西の果てに向かう玄関口となっている。

さて、平戸島に戻ってきた。
せっかくなので平戸島も巡ろうと思っていたのに、生月島ですっかり満足したからか、はたまた暑さに頭がやられたのか忘却してしまった。

2日前も訪れた川内峠へ再び向かう。
距離にしたら短いのだが、草原の中を駆け抜ける景色や両側に広がる海の眺望は素晴らしい。

2日前は曇っていた空も、今日は晴れている。
海の色もブルーに輝いていた。

平戸島をもっと巡ろうと思っていたものの、平戸島を後にした。まあ結果的に言えば、平戸でさらに時間を潰していたらその後の行程に大きく影響していたので、正解だったとも言えるが…
次回はもう少し涼しい時期に訪れることを誓った。

R204からr18へと入り北九十九島に沿って走り向かったのは「長串山公園

ここはつつじが有名らしいが、ここから眺める北九十九島の景色もまた素晴らしい。
奥に見えるのは平戸島だ。

「九十九島」は長崎県の佐世保市と平戸市にかけての北松浦半島西岸に連なるリアス式海岸の群島で、全域が西海国立公園に指定されている。
島の総数は公式では208とされており、実際には”九十九”を大きく上回っているわけだ。

“九十九島”と言っても、佐々川河口を境界として「北九十九島」と「南九十九島」に分かれている。
一般的に有名なのは佐世保市街からほど近い「南九十九島」かもしれない。
もちろん、その美しさはどちらも甲乙つけがたいわけだが…

この暑さだからなのか平日だからなのか、広大な公園には人の影は無かった。

ここ長串山公園は、4月から5月にかけて、久留米つつじ、平戸つつじなど10万本のつつじが色鮮やかに花開くそうだ。
青い空と青い海、そして緑の島々に映える様はきっと息を呑む美しさだろう。
いつかその時期にも訪れてみたいものだ。

長串山公園から少しばかり南下すると「冷水岳公園」がある。

ここも北九十九島を眺める素晴らしい展望台の一つ。

写真は遠く南の佐世保方面を見渡している。
まるで山々が沈んでしまったかのような風景だ。

展望台の日陰にいればなんとか大丈夫だ。
あゝ、この風景が見られて良かった・・・また来よう・・・

冷水岳公園は遊具などもあるからか、展望台には誰もいなかったものの、少しばかりの家族がいて小さな賑わいを見せていた。

さらにちょっと南下して、「神崎鼻公園

ここは北の宗谷岬、東の納沙布岬、南の佐多岬と並んだ日本本土四極の一つである。
多分、上記3ヶ所は知っている人も多いだろうが、ここ神崎鼻公園は多分1番地味だろう。
実際来てみても、目の前には平戸島が見えて最果て感も薄い。
でも綺麗な海とよくわからないモニュメントがあるだけでも、満足なのだ。

ここに来るための道もやや狭くて住宅地を抜ける点も、地味な感じだ(笑)

その後r18での北九十九島の旅を終え、道の駅 させぼっくす99(変な名前…)に立ち寄り九州のポン酢と醤油を仕入れた。
九州特有の甘口なだし醤油は関東だと苦手な人も多いのかもしれないけど、刺し身にはよく合うし個人的にはとても好き。

さて、次に向かうのは南九十九島。
と言っても、案外時間が無くなってきた…というのも、今日は島原からフェリーで渡り天草へ渡ろうと考えていた。
まあ何か約束があるわけでもなく無理に渡る必要も無いのだが、このままでは九州ツーリングと言っておきながら長崎だけで終わってしまいそうだ(汗)

というわけで、南九十九島はおそらく1番有名であろう「展海峰」へ。

美しい・・・

この美しさはなんと表現したら良いだろう?
北九十九島よりもより島の密度は高くなり、宮城の松島と比べても段違い。
きっと言葉のプロなら良い表現があるのだろうが、私には到底表現出来るものではなかった。

展海峰は公園として整備されており駐車場も広く、単に九十九島の風景を見るには絶好の場所だと思う。
これも高校の卒業旅行だったが、そのときは九十九島パールシーリゾートから遊覧船に乗って巡ったことを覚えている。
それもそれで素晴らしい風景が見られるのだが、ぜひ展望台から見下ろす風景も見て欲しいと思う。

展海峰から望む佐世保市街。佐世保は造船の街だ。
多くの造船所で巨大な船が製造の真っ只中だった。

さて、この時点で14時を回っている。
島原(正確には口之津港)発の天草行きのフェリーは最終便が17:30だが、先着順なので遅くても17時には着いておきたい。
今から最短で向かえば2時間半で行けるので猶予は30分。
当初は西彼杵半島の西側を走ろうなどという呑気なことを考えていたが、ここからは最短で口之津港を目指すことにした…

屋根を閉めて再び長崎自動車道で潔くワープを決め、大村湾PA。

空腹を感じていたこともあり、ここで軽く昼食とした。

長崎ちゃんぽん。
個人的にこの食べ物を一度も美味しいと感じたことが無いし、最もマシだったのはリンガーハットなのだが、このちゃんぽんはリンガーハットには匹敵するレベルの美味しさ(?)だった。
嫌いなら食べるなってのは本当に御尤なのだが、長崎を離れるので食べておきたいという観光客の性なので許して欲しい…
もちろん、名店もあるらしいので長崎ちゃんぽんそのものを否定する気はさらさらない。が、長崎中華街はやめておいたほうが良い…

再び諫早ICで降りR57を東進。

島原鉄道とのランデブーを楽しみつつ、のんびりと走り続けた。

17時ちょうど、口之津港に到着。

先着順かつ最終便なので万が一乗れなかったら島原に泊まるかなぁ…なんて考えていたが、先客はトラック1台と乗用車1台だけだった。
綺麗なフェリーターミナルでチケットを発券し、いざ乗船。

さらば長崎・・・酷暑は厳しいものだったが、素晴らしい風景が見られた。
また来ることを誓って・・・

とりあえず天草に渡ることが出来たので、天草市街に素泊まりの宿を抑えた。
とは言えまだ時間はあるので、上島にかかる「上島広域農道(通称:天草オレンジライン」で1日を終えることにした。

天草の中でも素晴らしいワインディング・ロードの一つである天草オレンジライン。
名称での”オレンジ”とはデコポンや天草晩柑、ポンカンといった天草名産の柑橘類のことを指しているのだが、このときの僕にとっては”夕日のオレンジ”だった…

総距離約24kmのドライビングロードは全線に渡って2車線で舗装状態も極めて良好。
それでいて交通量は皆無に近く、ドライビング好きにとっては最高の道だ。

下島に向かって夕日が沈む。

誰一人通らないこの場所で、一人で日が沈むのを見届けた。
いくらか暑さも収まっただろうか…

天草市街に向かって再びオレンジラインを引き返す。

するとどうだろう・・・

空は鮮やかな色彩に溢れ、上空を包み込んでいた。
思わず立ち止まり、日没後の天体ショーに見惚れていた。
なんたって自然は美しいのだろうか・・・

最後に素晴らしいものが見られた。
雲も漂う一日だったが、それ故にこんなマジックアワーに出逢うことが出来た。

今日の宿は素泊まりのビジネスホテルとしていたため、天草で夕食を探した。

で、目星を付けて向かったのはいけす料理の「とらや

まだ営業しているか若干心配だったもののセーフ。
19:57にオーダーしたがラストオーダーは20:00だったようだ(笑)ラッキ〜!

オーダーしたのは特上海鮮丼。
天草灘の海の幸が詰め込まれ、活き車海老をはじめ、天草うになど、まさに絶品であった。

地元の客が数名いるだけで、そのお客さんは時間を気にしていた。
というのも近くにある天草歩道橋は珍しい昇降橋で、今の時期は20時半を過ぎると上がりっぱなしになり対岸に渡れなくなるそうなのだ。(そうなると車道で大迂回が必要)
まさに住民にとって生活の足となっている。

大満足の夕食を終え、天草市街のビジネスホテルにチェックインし1日を終えた。

走行距離:336km

5日目へ続く。

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