冬の北海道(道東)を巡る 3日目

冬の道東を巡る旅、3日目です。

尾岱沼温泉シーサイドホテルの朝。
時刻は6:30、気温は-12℃。

昨晩雪が少し降ったようで、車にはわずかばかりの雪が積もっていた。

宿の目の前の中庭へお邪魔し、三脚と望遠レンズ、そしてアウトドアチェアを設置した。
これで別海町の天体ショーを楽しもうという算段だ。

水平線上には雲があり、別海町で見られる「四角い太陽」は期待出来ないが、それでも上空は晴れ渡り、素晴らしい天候に恵まれた。
1日訪れただけでそんな珍しい現象を見ようなんて思っていないし、むしろまた訪れる理由が出来てよかったってもんだ。

日の出時刻よりもわずかに遅れて、太陽が顔を出した。

やがて目の前の凍りついた野付湾に陽の光が反射し、1本の光の道を作り出す。

ここまで綺麗な反射は波があっては見られないだろうし、冬ならではの光景に心が震える瞬間だ。

眼の前に広がる天体ショーをこの場で観ているのは、自分ただ1人。
鳥の鳴き声だけが響く空間で、ただただ立ち尽くし、この一瞬の風景を永遠のものへと変えるべくシャッターを切っていた。

太陽への道が野付湾に作り出される
600mm(35mm換算960mm)の望遠で太陽を撮影してみた。
もう少し上手く撮れると良かったのだが…

宿で朝食をいただき、冷えた身体を尾岱沼温泉で暖め、出発する。

昨日夕時に野付半島を訪れたので、スキップしてすぐに南下する予定だった。
が、せっかくすぐ近くに宿泊していることもあり、まだ訪れたことのない朝の野付半島も行ってみたく、惹きつけられるように車を走らせた。

凍りついたナラワラ。

野付半島を訪れた後は、いよいよ南下を開始する。

R244で南下し、「道の駅 おだいとう」へ立ち寄る。

ここには「白鳥台」という展望スポットや「レストラン 四角い太陽」という名前が示す通り、気象条件が揃った日には先述の「四角い太陽」が見られるスポットの1つみたいだ。

ここでは「しまえび醤油」というものを発見したので、お土産に仕入れることにした。

引き続きR244を南下。
本別海を過ぎたあたりで、左折してd475へ。

そう、風蓮湖の北端側に位置する、走古丹(はしりこたん)へと向かう。

上の写真は来た道を撮影したものなので、右側には太平洋の根室湾、左側には森林が広がっている。

しばらく走ると、海側に廃屋が3つ並んでいるのが見えてくる。

誰が名付けたか知らないが、「三匹の子ぶたの家」と呼ばれているそうだ。
とは言え、別にレンガと藁と木で出来た家が並んでいるというわけではないので、なんで?って感じではあるが、等間隔でポツンと3軒並んでいる光景が印象的で、きっとそう名付けられたのだろう。

走古丹には小さな港町があるだけだ。コンビニも無ければ、宿も民宿が1軒あるだけ。学校も無い。
なぜここを訪れたのか自分でもよくわからないが、地図で見た時に惹かれたことは間違いない。
自分の目でここからの景色を見てみたかったのだ。

町中をのんびり車を走らせると、民家の木にオジロワシが止まっているのが見えた。

撮影しようと車を降りたら、飛び立ってしまった。

それでも町を離れ国道に戻る間に、遠く木の上にオジロワシを発見した。

換算960mmでもかなり遠い場所だったので、トリミングも加えて画質は酷いもんだが、自己満足。

さて、次に目指すのは「道の駅 スワン44ねむろ」

ここは毎夏のグランド・ツーリングでも根室方面に訪れた際には寄ることの多いお気に入りの道の駅だ。

目の前には風蓮湖を望むことが出来る。

ちょうど昼時だったこともあり、ここのレストラン「Bird Pal」で昼食を食べることにした。
さすが野鳥観察の聖地だけあって、レストランも鳥にちなんだ名前だ。

目の前の風蓮湖を眺めながらいただくのは「花咲ガニ塩ラーメン」

すぐそこにある花咲港で水揚げされた花咲ガニの身がたくさん入っており、とても美味しいラーメンだった。
そして何より、こんな美しい風景を眺めながら食べられるなんて、なんて贅沢なんだろうか…

その後はすぐ近くにある野鳥観察舎「東梅ハイド」へ立ち寄ってみた。

今の時期は越冬のためさらに南下を始めているためか、数は比較的少ないものの、それでもたくさんのオオハクチョウが目の前を飛来していた。

遠くの木々を見渡すと、オジロワシが2羽、木の上で羽を休めていた。

正直あまり時間もなくなってきたし、短時間ではあったが撤収。

続いてはまたすぐ隣にある「根室市春国岱原生野鳥公園 ネイチャーセンター」へ。

ここには春国岱の散策路を始め、様々なネイチャーツアーが開催されていたりする。
時間があればぜひとも散策したかったのだが、時間が無くなり泣く泣く諦めた。

それでも、ネイチャーセンターまでの森林でコガラ?ハシブトガラ?を見つけたので撮影した。

さて、ここからは北太平洋シーサイドラインの旅。

夏のグランド・ツーリングでも、ここに来た際には必ず走る道の1つ。
なんと言っても魅力はその景色と道のアップダウン・コーナリングの組み合わせ。
ここに匹敵する道は日本広しと言えども、無いのではないだろうか。

数十kmにわたって続く海岸線のワインディング・ロード。
冬の澄み渡った空の下、西陽に向かって誰一人いない北太平洋シーサイドラインを駆ける・・・

まさに最高の瞬間だ。

まさか12月に来てドライビングを楽しめるとは思ってもいなかった。
ヤリスのドライバビリティの高さも相まって、9割くらいがドライ路面の冬の北太平洋シーサイドラインを大いに楽しませていただいた。

夢中で走っていると、陽がだいぶ落ちてきた。
日没の時間だ。

当初は目的地を琵琶瀬展望台にしていたが、予定変更。
スキップする予定だった霧多布岬へと向かう。

車が2台停まっており、家族が2組来ていたが、日没の前に去っていってしまった。

冬の霧多布岬で、1人日没を迎えることになった。

強烈な西陽が射し込み、オレンジ色の世界が広がっている。

さて、灯台に向かって歩こうか・・・

結構距離があるのだが、霧多布岬の先端まで歩くことにした。

さて、ここで今日を終えよう。

雲ひとつない冬晴れの空が、美しいグラデーションに染まる。

いつの日か訪れた北太平洋は波が高くかなり荒れていたのだが、今日の海はとても波も穏やかだった。

さあ、日没の瞬間。

太陽が沈み、灯台に光が灯された。

これから灯台の役割が始まる。

誰もいない霧多布岬を歩き、車に戻った。
波の音だけが響き渡る、最高の1日の終りだった。

美しい野付湾の日の出と共に1日を始め、これまた美しい霧多布の夕日で一日を終えた。
なんて贅沢なんだろうか。
北海道の日々は、改めて感動の連続なのだ。

トワイライトの中を車で走り、釧路を目指す。

途中、車窓から見える琵琶瀬川があまりにも美しくて、車を引き返して撮影した。

無風で波の無い静かな川面が、グラデーションに染まったマジックアワーの空を反射し、得も言えぬ美しい色彩に染まっていた。

こういう景色は空気の澄んだ冬ならではなのだろう。

のんびりとヤリスを走らせ、1泊目と同じ釧路の宿に到着。

夕食を買い込み、就寝した。

4日目へ続く。

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