10代最後の夏、東北1周の旅。(3日目) of GT Journal

2014.09.10

10代最後の夏、東北1周の旅。(3日目)

東北1周の旅、最終日です。





昨日、種差海岸に行くことが出来たこともあり、今日は少し遅く7:30頃に起床。

そして、チェックアウトを済ませ、本八戸駅へと歩く。
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今日も快晴と言える青空だ。

個人的にこのくらい雲が広がっているのが絶好の天気だと言える。




本八戸の駅のホーム。
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時刻は朝8時過ぎ。東京なら通勤ラッシュの真っ最中だが、こちらは学校へと向かう高校生くらいなものだ。


駅のホームからは反対側の街並みが見渡せた。
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昨日は暗くて何も見えなかったが、綺麗な大通りもあるし、割りと大きな駅のようだ。









列車がやってきて、けたたましいブレーキ音と共に列車が止まった。

耳を塞いでいる子どももいたが、僕は現代の列車は静か過ぎると思う。





本八戸 8:10発 八戸線(1429D) 鮫行
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ディーゼルエンジンのアイドリング音が響く車内へと乗り込む。

ガラガラな車内の写真だが、本八戸を出発した時は高校生がたくさん乗っていた。

が、白銀で皆降りていった。






鮫 8:24着
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八戸から出発する八戸線は鮫止まりの列車が多い。
久慈まで行く列車の本数はなかなか少ないのだ。





鮫駅に降り立つとすぐに潮の香りがした。カモメが鳴いている。
それと少し、潮風にのってくる生臭い魚のにおい。

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「鈍行列車で旅をして、日本の大きさを感じよう。」

鈍行列車だから気づくことがある。
鈍行列車だから出逢える景色がある。
鈍行列車だから出逢える人がいる。
鈍行列車で旅をすれば、日本の大きさが感じられる。










ホームは3番線まである。
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本八戸とは打って変わって小さな駅だが、有人駅だ。
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ここから、蕪島を目指して小さな港町を歩き始める。
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「うみねこの街」と書かれているが、これについては後で触れることにする。





波の音、カモメの鳴き声、船のエンジン音・・・

いろんな音がしているのに、何故か「静寂」という言葉が相応しく感じた。






歩き始めて10分ほどだろうか、蕪島が見えてきた。
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「蕪島」は、ウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定されている。
2013年には三陸復興国立公園にも指定されているそうだ。
「蕪島」という名前には諸説があるらしいが、現在では陸続きではないのでそもそも「島」ではない。
でも、もともとは島だったようで、1942年に埋立工事によって陸続きになったそうだ。



実は、先ほどの「鮫駅」の駅標にもこの蕪島の写真がある。(先ほどの写真を見返して欲しい)
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見ての通り、蕪島の上は神社になっている。
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階段の途中には、主にウミネコについての説明が。
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文章作成能力の無い僕は要約が苦手なので、是非読んで欲しい。






そして階段を登り切ると、こんなことが書かれていた。
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こういうことを書かれてしまうと、僕の性格上、やらずにはいられないので、島を歩き始める。

歩き始めると言っても、1周するのに1分かかるかかからないかといったところ。




歩き始めるとすぐに、先ほど歩いてきた道のすぐ近くに砂浜を発見。
波の音はもちろん聞こえてきたけど、砂浜には気づかなかった。
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と言っても、海水浴をするような場所ではなさそうだ。



蕪島は決して高いわけではないが、周りに高い建物が無いので、港町を一望出来る。
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こんな感じで、島を外周している細い道を歩く。
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再び、看板が。
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とりあえず写真を撮ってみたが、どれが七福の岩なのかわからない・・・
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今日の太平洋も穏やかだ。
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鮫駅に着いてからは少し曇っていたのだが、また晴れ間が見え始めた。
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そしてのんびりと3周し、参拝。
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神社に参拝し、島を降り、先ほど見つけた砂浜に降りる。

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するとなんと、大量のうみねこがいた。
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いや、繁殖期には4万羽ものうみねこがいるのだから、これを大量と言っては地元の人に笑われてしまうだろうが、そこそこの大群のうみねこが砂浜で羽を休めていたのでなかなか驚いた。




砂浜から蕪島を眺む。
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そしてウミネコの大群をもう1枚。
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今度は港の近くを通り、駅に戻ることにする。
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丁度荷降ろし(?)の作業中のようだ。
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そういえば、朝ごはんも食べずに列車に飛び乗り、港町を散歩していたこともあり、さすがにお腹がすいてきた。

まだ時間もあるし、駅の周辺で何か買って、列車で食べよう。




そう思い、駅周辺を探してもコンビニなんて無い。




やっと見つけたスーパーは・・・
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閉店していた。
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それからまた歩くと、またスーパーを発見。今度は活気がある。
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幸いやっていたので、おにぎりとパンと飲み物を購入し、鮫駅に戻る。




鮫 10:28発 八戸線(433D) 久慈行
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数少ない久慈行きの列車ということもあり、そこそこ混んでいた。

とは言え、座れたので窓を開けて風を感じながら、先ほど調達してきた朝食を食べる。




八戸線も海沿いを走る絶景列車なのだが、山側の席に座っていた上、朝食を食べていたこともあり、唯一撮った写真がコレだ・・・
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(微妙に海が見えるけど、何故シャッターを切ったのか不明。。。)




そして、海から離れた後は数々のトンネルを抜けて、終点の久慈駅に11時50分到着。
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鮫駅で少し曇っていた空も、また快晴になっていた。
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さて、ここからは「三陸鉄道北リアス線」へと乗り換える。
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三陸鉄道と言えば、今年の3月に北リアス線、南リアス線の全線が復旧したことが全国的にニュースに取り上げられたので知っている方も多いだろう。

もしくは、NHKドラマの「あまちゃん」の影響もかなり大きいと思う。

残念ながら、僕は「あまちゃん」を一度も観たことが無いので、ロケ地とかは全くわからない。

でも、きっとあまちゃんファンだろうな〜と言った若い方も多かった(僕もそう見られていただろうなぁ)

まぁいろいろな影響があってか、久慈駅に向かう八戸線も三鉄目的の方が多く見られたし、久慈駅周辺も賑わっていた。




とりあえず、乗り換え時間は25分あるが、三陸鉄道の久慈駅に入る。
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フリー乗車券もあるが、僕は宮古まで乗るだけなので普通の乗車券を買う。
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不通となっている区間にはバツ印が付いている。
三陸鉄道は復旧したとはいえ、復旧していない路線の方が多いのだろう。





自動券売機は1000円札しか使えず、持ち合わせが無かったので窓口に向かったのだが、慣れていない観光客が多く、それぞれに説明したりしているから割りと時間がかかってしまった。





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割りと時間が無くなってしまったので駅のホームに向かうと、かなりの人だ。
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どうやらバスツアーの客らしく、乗客の大半は年配の方たちだ。



僕の中では、団体で行く旅行なんて邪道中の邪道なのだが、こうしていろんな人が乗って三陸に活気が戻るならそれはとても良いことだし、バスツアーに参加した多くの人に三陸の魅力を知ってもらうきっかけにもなるから、団体旅行も否定は出来ない。
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まあ、そんな事言っても混んでいるものは仕方が無いので、こういう時は潔く座席は譲って、健康な人間の特権である、前面展望へと向かった。
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走り始めるとすぐに、車内アナウンスによってこの辺り一帯は津波によって流された地域だと知らされる。
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海沿いの堤防は真新しいし、線路の敷石も綺麗だ。

この区間は比較的長く、出発して早々に震災の被害の大きさを知ることとなった。




途中の野田玉川駅に反対列車すれ違いのため停車。

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実は先ほど、鮫駅で久慈行きの列車を待っていると地震が起こった。

割りと大きく、震度は3〜4だったそうだが、海が近い港町にいるとやはり不安になる。

そんなわけで、三陸鉄道もその地震によって一時運転を見合わせ、線路に異常が無いか安全確認を行っていたようだ。

そんなこともあり、反対方向(久慈行)の列車が遅れていたため、ここ野田玉川駅でしばらく停車していた。

海沿いを走る鉄道は今回の震災から様々なことを学んだことだろう。





待っている間にみんな写真を撮りに降りているのだが、年配の方が線路に帽子を落として、運転士さんが拾ったりしていた。





どのくらい待ったかは覚えていないが、少なくとも20分以上待つと、反対列車がやってきた。
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再び列車が走り始めると、どうやら「あまちゃん」で有名な場所に。
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ここは五能線の「リゾートしらかみ」のように、速度を落として運転してくれる。

しかし、あまちゃんを観ていない僕には「綺麗だな〜」程度のことしかわからなかった・・・






やがて列車は「堀内駅」に到着。
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実はここもあまちゃんのロケ地らしい。

この写真をよく見ていただければわかるのだが、「堀内」と書かれた標識の奥には「袖が浜」という架空の駅の標識がある。
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どうやらあまちゃんのドラマの中では「袖が浜」という駅で登場していたそうだ。

この駅は高い場所にあり、駅のホームからは太平洋が一望出来る。

あまりにも景色の良い駅なので、もしJRなら18きっぷのポスターにでも使われそうな駅だ。

ここではあまちゃんファンと思われる若者2人が降りていった。





そして列車は再び太平洋を眺めつつ、南下していく・・・
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途中の「島越駅」でツアー客が大分降りたので、車内の写真を撮る。
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ようやくここで気付いたのだが、車内の感じが千葉のいすみ鉄道の車両にとても似ている。
きっと同じ車両なのではないだろうか。





それから、そういえば1000円札が無く窓口で切符を買ったのだが、窓口で買ったらなんと硬券切符だった。
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自動券売機で買うとどうなるのか知らないが、もしこれが窓口限定なら1000円札が無くてとてもラッキーだった。
車掌さんにお願いしたら貰えたので、この切符は今でも大切に保管している。




そしてツアー客を途中で降ろし、地元の人だけになり静まり返った列車は終点の宮古駅に13時54分にほぼ時間通りで到着。
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天気はあまり良くない。今にも雨が降りそうだ。

宮古と言えば、浄土ヶ浜なんかが有名だが、歩いていける距離ではなさそうだ。





ここからJRの山田線に乗り換える。この旅も終わりに近づいている。
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宮古発の山田線は15:54。


まだまだ時間があったので、駅周辺を少し散策してみることにした。





少し歩くと、宮古市の市役所があった。
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実はこの辺り、今では何の変哲も感じないが、東日本大震災によってかなりの被害を受けた地域。

この宮古市 市役所からの写真を見ていただければわかるが、この辺り一帯は津波に襲われた。

あれから3年でここまで復旧している。少なくとも表面上は。





しかし、すべてが震災前と同じではない。





これから乗るJR山田線は宮古から盛岡の間では運転しているものの、宮古から南下し、釜石に向かう路線は未だに復旧しておらず、この写真の先の線路を列車が通ることはないのだ。
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つまり、三陸鉄道の北リアス線と南リアス線は離れ離れになってしまっている。


この「震災と鉄道」という記事を見るとわかる通り、海沿いを走る列車の多くは被害を受けてしまったようだ。






実はこの旅を計画している時、本来ならここから釜石まで行き、気仙沼や石巻を経由して仙台から帰ろうと思っていた。

しかし、いろいろ調べるに連れてわかるのは、あまりにも不通区間が多く、バス代行やBRTによって運行されているものの時間が読めないということもあり、仕方なく断念することとなった。



あの震災から3年経っても復旧されていないのは、主に費用の面が大きい。

このようなローカル線は日常の足として使っている乗客が少なく、多額の費用をかけて復旧したところで、大赤字になってしまうだけだからだ。

だから多くの場合、復旧を断念し、廃線にしてしまうか、BRTというバスによる運行を行ったりする。

僕達の知らない場所で、地元の人たちを支えてきた小さな路線は失われていくのだ。

そういう意味でも、三陸鉄道の復旧は地元の人たちを元気づけたことだろう。






少し悲しい気持ちになりながら、赤字路線として有名な山田線に乗る。

宮古 15:54発 山田線(653D) 盛岡行
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山田線は宮古〜釜石間が不通となっている今は、盛岡〜宮古間を2時間ほどで繋いでいる1両だけの小さな列車。

宮古から盛岡までを繋いでいると言っても、本数は1日でたったの4本。これを逃したら次は2時間後なのだ。

乗客はまばらだが、1両ということもあり座席が埋まるくらいには乗っている。

駅のホームの自販機で飲み物を買い、この旅最後の鈍行列車へと乗った。









列車が出発してからは、ひたすら山崎ハコの「飛びます」を永遠とリピートして聴いていた。





別に旅なんてしなくたって生きていけるし、お金も貯まる。

でも人生は一度しかない。

だったら、「生きる理由」なんて探す前に「どう生きていくのか」を考えてみてはどうだろう。

そうすれば生きる理由だって自然と見つかるはずだ。









山田線は山の中をひたすら走り続ける。





途中で、旅の終わりを告げるかのように雨が降ってきた。
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小雨の降る山奥を、のんびりとレール音を轟かせながら盛岡へと向かう。








山をいくつも越えて盛岡に近づくに連れて、また晴れ間が見えてきた。
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そして18時06分、盛岡に到着。
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今まで山の奥にいた自分には、あまりにも賑やかだ。

ここには通勤ラッシュもある。丁度サラリーマンが出張から帰る頃だろうか。

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結局、この旅で乗った列車は不思議なくらい予定通りに乗り継ぎ、無事に盛岡へと着いた。

でも実際に着いてみると、旅を無事に終えた安堵感よりも、これで本当に終わりだということに対して少し寂しい気持ちになった。






駅構内のお土産屋で、帰りのお弁当と三陸海宝漬を購入した。

海鮮ものが大好きなのと、「三陸」という言葉に惹かれてしまった。







ここからはいよいよ新幹線で、本当に最後だ。
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盛岡 18:50発 はやぶさ32号 東京行
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新幹線の窓から見える過ぎ去っていく景色が惜しかった。



中島みゆき 「ヘッドライト・テールライト」











20時58分きっかりに上野駅に到着。
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この3日間を振り返るには、盛岡からの2時間というのはあまりにも短く感じた。




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新幹線を見送り、ホームのベンチに座った。

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3日前、出発した上野駅。

たった3日間の旅だったけれど、3日前とは違って見えた。





(10代最後の夏、東北1周鉄道の旅、終わり)